続・構造偽装

また第二の姉歯が出た。
今度は実直そうな常識を持った人物だ。
これで終わり、ではなさそうだ。
構造設計業界はどこもそう変わらない。

特に今までのように3週間で確認申請を下ろします。
その間に全ての構造設計変更手続きと計算を終えて下さい。
さもなければペナルティー、この構図は従来から存在していた。
一人で請け負う構造設計者にこなせるわけがない。
それほど本来は膨大な作業なのだ。

それを我々意匠事務所は押し付けてきた。
良く知らなかった。また彼らも知らせなかった。
スケジュールが常にきつい事をもらせば仕事を失うからだ。
高度に分業化された設計業界は互いの事をあまりにも知らない。
分かったつもり、知ってるふりばかり。
今まで無知だった。

今は改正建築基準法のおかげでたっぷりと充分に構造変更の時間がとれるようになった。
これが本来のスケジュールか?と皮肉な目を向ける。

元々、設計は確認申請に出す為の申請用設計と、
見積もりを出す為の実施設計とに分かれる。

構造設計以外は5対5、の作業比率だ。
つまり最初、申請用に1ヶ月かければ、その後の実施設計に1ヶ月かけられる。
バランスよく作業が出来る仕組みだ。

ところが意匠事務所主体で決められたこのスケジュールは構造設計には当てはまらない。
彼らの作業の99%は申請用設計に宛てられる。

つまり他の設計業種よりも2倍忙しいのだ。
そして責任は重大。意匠設備設計の変更と要望を全て受け入れる宿命。
彼らの意思が働く場所は限定されている。

そのわずかな自由空間で悲劇が生まれた。

今まで姉歯を異常な人間の異常な行動と思っていた。
今回の事件はそうでもないことを印象づけた。

考えねば、話し合わねば。
そうしないと構造設計者の将来と夢が絶たれてしまう。
それで困るのは設計業界全体なのだから。