傾斜地入門2 「地階」における住宅容積緩和

さて前回で「地階」の定義された。
次はそれに基づく地階における住宅の容積緩和である。
これには2つの法条文がある。

1)建築基準法第52条第3項(抜粋)

建築物の地階でその天井が「地盤面」からの高さ一メートル以下にあるものの住宅の用途に供する部分の床面積は、1/3を限度に算入しないものとする。

2)建築基準法第52条第4項(抜粋)
前項の「地盤面」とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。

2)が曲者である。
前回「地階」の定義で使用した地盤面はここでは使えない。
全く別物の地盤面 がここでは定義される。
また3m毎の地盤面が発生すると、一つの階でも複数の地盤面が発生する。
それらの内、「一番低い地盤面」から「平均天井高さ」までの距離が1m以下の場合のみ容積緩和される。

2)は基準法上の「建築面積」及び「高さ」を決める為の「地盤面」を規定した、施行令第1条第2項と全く同じ文面である。
これで大半の地方公共団体は大丈夫だが、
神奈川県等では建築基準法第52条第5項を適用し独自の解釈をしているので要注意。

また2)の地盤面は日影規制に使用する「平均地盤面」ではない。
これまたややこしい。
高低差が3m以内なら「平均地盤面」と「地盤面」は一致するが、
3m以上の高低差のある傾斜地では明確に異なる。

ファイル 93-1.gif

前回と同じこの例では、L1階のみが地階かつ上記1)と2)の条件を満たす。
L2階は前回の地下判定でOUTだったので条件を満たさない。
L3階は地階かつ領域3の地盤面からの高さが1m以内だが、
属する領域2の地盤面が最も低く、1mを超えている為OUTとなる。