「CAD」は言うまでもないが、設計ツールである。
三次元のBIMと並ぶ建築設計の為の道具である。
CADの方は2次元なので機械設計土木設計でも使われる。
以前はCADの依頼と言えば下請けの「CADオペレーター」のことだった。
即ち建築設計者が設計した手描きの原案を忠実に電子データ化していく現代版トレーサーのことだった。
それも設計者が自分でCADを操るようになると需要も消えていった。
10年以上も前の話だろうか。
これはツールであって間違っても建築設計そのものだと勘違いしてはならない。
大工さんに依頼するとき「金槌お願いします」と言う人はいない。
実際の建築設計の順位としては
最初に企画設計がある。
不動産業界ではボリュームチェックと呼ばれる。
これは最も難易度が高く、責任重大であり、決して実務経験のないペーパーアーキテクトに任せてはならない。
首をかしげるような実行不能な代物が出てくる。
その後に基本設計、実施設計、監理業務と続く。
繰り返すが企画設計の段階こそ最重要かつ最難関かつ最も面白い分野なのだ。
真っ白なキャンバスに絵を描く前の緊張と高ぶり。
間違っても建築家に容積はどれ位取れるのかなどと、野暮な質問をしてはならない。
建築家はそんなことに関心はない。
どんな建築が可能か、何が出来るのか、このキャンバスに描きうるイメージ、必要条件と建築足りうる充分条件とは何か?
日々我々は追い求める。
それが現実と完全に符合した時に思いが形になって現れる。
企画設計の醍醐味である。
そして今日も果てしないアプローチは続く。