ハウスメーカーを選ぶ場合 当然自分の好みで順番が決まる。
まずコンクリート系のハウスメーカー、最初は大成建設ハウジングのバルコンそしてレスコハウス、
次は重量鉄骨系旭化成ヘーベルそして軽量鉄骨系の積水ハウス、ダイワハウス,パナソニックホーム等々がつながる。
順番にショールームを回っていく。
建築費を聞いていくと当然予算がらみで希望順位が下がってくる。
ここではたと気がついた。我々が話す相手はハウスメーカーの営業の担当者なのだ。決して技術担当ではない。
普段の設計事務所の話し相手というのは建設会社か同業の設計事務所で
極めて専門的な技術的かつ法的な問題を日常会話のように取り扱う。
ところがハウスメーカー相手ではまるで近所の人とよもやま話をしているような雰囲気に陥る。
そう、営業担当というのはお金の事は精通していても、建築のことはまるっきり素人なのだ。パンフレットを見て覚えた程度の知識しかない、後は経験だろうか。
ということは我々建築設計事務所とはまるっきり違う世界で、普段の業界会話が成立しないのだ。
これは困った。当然これくらいは簡単にできるはずだという結果を予測して投げかけてみても、
答えはいつもできません、お金がやたらとかかります、ばかり。
マニュアル通り。
例えば南側の庇の両脇に1メートルの袖壁をつけたいとする。ちょうど正面から見るとコの字を逆にしたフレームになるはずだ。
ところがこんな簡単なことができないと言う。
やれと言うと、数百万の見積もりを出してくる。
ため息が出る。コンクリートなら何も考えずにただ伸ばすだけのことなのに、まるで違う星の人間と話をしてるみたいだ。
見積もりに関してもこちらが詳細な平面図、立面図、高さ関係も地盤面から全て記入した詳細な情報を出しているのに、出てきた見積もりには全然反映されていない。
同じようなモデルの同じような面積の従来の実績から適当に判断してくる。
個別の判断は後で、無理に修正させると打ち合わせの度に予算が数百万ずつ跳ね上がっていく。
その結果、ある軽量鉄骨系ハウスメーカーでは鉄筋コンクリートよりも高くなってしまった。
もういいだろう、もう帰ろう、自分たちの知っている世界へ。
そして我々はゼネコン系列の住宅メーカーに帰って行った。
そして知った、なんて落ち着く場所だろう、我々設計事務所が相談する相手は結局同業の建設会社系のハウスメーカーしかないのだろう。
そしてその品質は壁式の現場打ちコンクリートと大差ない PC コンクリート版だ。
かくして我々は大成建設ハウジングと組むことになった。
希望して、打ち合わせは都内にある我々の設計事務所内で、そして直接相談するのは設計の担当者ということにしてもらった。
こうなるともうほとんど普段のペースと変わらない、普通の建築設計の打ち合わせと同じだ。リラックスして思うように進められる。
かつて知ったる世界、質実剛健な建設会社の世界に入っていく。