超高層用面積表

久しぶりに面積表のレイアウトを大幅に変更した。と言っても外からの見た目は全く変わらない。
要するに昨今の超高層に対応しただけ。
6-7年前に、マクロを使って瞬時に15階、30階、45階と3パターン変化する面積表を作り現在に至った。
ところが総合設計等ではそれでは不足する事態が起き始めている。

階数が多くなり表示の行数が増えると細かすぎて見えなくなり、文字もはみ出る。
ならば全部マクロで解決、というのが今回の変更の趣旨。
あまりに久しぶりだったのでもうEXCELのマクロの使い方もわからないのではと懸念されたが
どっこい、2日目にはすっかり思い出し、さらにネットでは教えてくれない細かい裏技も編み出した。
かくしてA3の印刷時に破綻しないようなレイアウトの60階面積表が出来上がった。
文字の大きさも瞬時にボタン一つで変更できる。
15階から、60階までノンストップで4パターン表示。すべて一つのシートで出来る。
世界でこれ一枚の専用面積表だ。
>■標準60階面積表
>■標準15階面積表

しかも建物用途別に共用部分も按分計算し
例えば店舗、事務所、住宅とそれぞれに使用面積を出してそれが駐車場台数の自動計算、建築費の自動計算へとつながる。
1つのEXCELブックに法規チェックシート、住戸面積タイプ別入力、面積表シート、建築費自動計算シート、
さらには天空率の簡易予想シートもつけてある。すべて連動している。
これで時間のかかる天空率計算の前に、建物の道路からの距離、間口の幅等があらかじめ予測できる。

上部に階数切り替えボタン。下部には5種類のシート。それぞれが長大。

後はこれにAIを連動させる。
これが私の夢。
小人数事務所としては膨大なボリュームチェックのデータ。
実際の当社作成案件は4000件を超えている。すごい数だと思う。我ながら。

まだ設計事務所の社員だった頃、新宿御苑の緑を大きなガラス越しに見ながら一番いい席で日々ボリュームチェックをしていた。
吹き抜ける風をガラス越しにも体と心に感じながら、このまま一生続けてもいいな。
ぼんやり思っていた。それほど体質的にあっていたのだろう。

その後独立し、現場を駆け回り、オーケストラの指揮者のように次々と指示を出し、
崇め奉られるのも気分だけはいいけれど
本質じゃないし、実力でもないし、立場上周囲がそうしてくれているだけと分かっていた。

そしてリーマンショックで経営者としての失敗を突き付けられ、すべての自信を失った。
その時思い出したものは、あの時の新宿御苑の風だったのかもしれない。
私は風に運ばれてここに居る。これからもきっと。


画像は窓から見えた吹きあがるような雲